赤ちゃん用水着
3人のプロが語るベビースイミング座談会01
国内でベビースイミングが始まった頃から長年携わってこられた3人のプロに指導者、施設経営者、製造業と立場の違う視点で意見を交わしていただきました。
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本日はベビースイミングに長年携わっていらっしゃる3人の方それぞれのお立場からお話ししていただき、ベビースイミングについていろいろお教えいただければと思います。
よろしくお願いします。
- よろしくお願いします。
- ところでベビースイミングはいつ頃どのように始まったのでしょう?
- 記録に残り始めてから1世紀以上経ちますが文献にも載らず自然に個人的な経験をもとに行われていたことも含めると、たぶん人類始まって以来からじゃないでしょうか。
- 今のようなベビースイミング教室は世界的にはどのような形で始まったのですか?
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最初はアメリカ、カナダ、オーストラリアで発展しました。
プールがある家庭も多く、海、川、湖でのレジャーが盛んで子どもの水難事故が非常に多かったことから、水に落ちても自分の安全を確保できるように教えるのがベビースイミングのはじまりだったようです。
1966年から西ドイツの大学教授やミュンヘンのバウマイスター氏などによって学術的な研究が行われました。
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1966年というと東京オリンピックが終わった翌々年で、
日本ではスイミングクラブが誕生した頃ですね。
- そうですね、日本でスイミングクラブが誕生した頃、西ドイツではすでにベビースイミングの研究が行われ学術論文が発表されていたわけです。日本もそうした情報を収集して、1976年にIISP[国際水泳プログラム研究所]を設立し、指導カリキュラムやシステムの整備、関連事業の研究開発を組織的に行うようになりました。これがIISPベビースイミングの始まりですね。
- 日本のベビーを対象に実際に行われたのはいつ頃からですか。
- 1976年1月に東京日野市のスイミングクラブで日本の赤ちゃんを対象に実験が行なわれました。4月にはバウマイスター氏を招聘してインストラクター養成講座を開き、ベビースイミングインストラクター1期生を誕生させたのです。
- その時の様子が『月刊スイミングライフ』に掲載されているこの写真ですね。
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ええ、これがバウマイスター氏です。
当時36歳の独身だった彼がベビースイミングを始めたきっかけは、子どもが溺死したのを目の前で見たことだったそうです。これは二度とあってはいけないことだと始めました。
彼は『私のところには世界中からベビースイミングを学びに来るけれど、
ただ利益追求のためだけの人は相手にしたくない』と言っています。
IISPが取り組んだベビースイミングも同じ哲学にあります。
間違いがあってはいけないという信念のもとに科学理論を総動員して慎重に取り組んできました。それが日本のベビースイミングのスタートでした。
- 歴史を振り返るとベビースイミングの思想や考え方のすばらしさをあらためて感じますね。ではフットマーク社がベビースイミングと出会ったのはどういうきっかけだったのでしょう?
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わが社は1946年に赤ちゃんのおむつカバーの製造業として創業しました。
1970年には学童用の水泳帽子を開発・製造しスイミングクラブさんとのお付き合いが始まりました。波多野さんのお父様の勲さんが「指導者もプログラムも施設も大事だが水泳の道具を作ってくれる人がいないとスイミングは発展しない」とおっしゃって、我々はベビースイミング開始当初から水着の開発に携わらせていただきました。
おむつ作りのプロとしては「任せてください!」と言うところで、日本人に合うように工夫をしてベビー水着「ハーネス」の第1号を作ったのです。
- ベビーハーネスは1号から始まって、改良を重ねて今ではファイブですね。
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ファイブかぁ…。どうすれば指導上の目的にかなったものになるのか、現場の先生やお客さんの声を取り込んで改良に改良を重ねて進化させてきた結果です。
私は将来の人材を育てるベビースイミングの商品を作ることにものすごく責任とやりがいを感じ、嬉々としてこの商品開発に取り組んできました。